キャリアの正解が 見えないと、動けない理由
「やりたいことが決まってから」と思っているうちに、時間だけが過ぎていくとき
「やりたいことが はっきりしたら動こう」。 そう思って、 自己分析の本を何冊も読んだ。 それでも、 答えはまだ出ない。
"やりたいことが分からないまま動いて、遠回りになったらどうしよう。
00. The Question
「決めてから動く」が、足を止めることがある
今の仕事に、どこか違和感がある。転職サイトに登録し、自己分析の本を読み、強みの診断も受けてみた。けれど結果を眺めても、「これだ」という確信は持てない。何もしていないわけではないのに、新しいことを試す一歩となると、足が止まる。間違った道を選んで、遠回りはしたくない。だからこそ、やりたいことがはっきりするまでは動かないでおこう。そう考えるのは、慎重で真剣な姿勢です。ただ、考える材料が増えるほど、かえって選べなくなっていく。気づけば一年が過ぎ、同じ迷いの中にいる。周りは着々と進んでいるように見えて、焦りだけが募っていく。そんな感覚に、覚えがある人もいるのではないでしょうか。動けないのは、意志が弱いからとは限りません。
01. The Hidden Belief
一歩目を止めているのは、「前提」かもしれない
スタンフォード大学でキャリア研究を続けたジョン・D・クランボルツは、キャリアについて本人が持っている思い込みに着目し、その中には一歩を踏み出す妨げになるものもあると考えました。そうした思い込みを見つけるための質問票も作っています。「やりたいことは、考えれば見つかるはず」「方向を決めてから動くもの」。どちらももっともな考えですが、答えが出るまで動かない理由にもなりえます。言い換えれば、方向が決まるまで試さないでいると、自分が何に心が動くのかを知る経験も増えにくく、決めるための手がかりが足りないままになることがあります。クランボルツは、迷っている状態を欠点とはみなさず、決断力よりも、開かれた心の方が大切なこともある、と論じました。
02. Another Way to See It
迷っている状態は、可能性に開かれた状態でもある
その考えとつながるのが、クランボルツらが1999年に提案した「計画された偶発性」です。この理論は、誰のキャリアにも予期しない出来事が関わってくると考えます。だから、それを避けて計画どおりに進もうとするより、避けられないもの、むしろ望ましいものとして受け止め、学びの機会に変えていこう、と提案しています。ただし、「決めなくていい」「偶然を待てばいい」という意味ではありません。クランボルツらが重視したのは、決めてから動くのではなく、探索や行動を通じて、予期しない出来事を学びの機会に変えていくことでした。そのために挙げられているのが、好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・リスクテイクという5つのスキルです。たとえば好奇心は「新しい学びの機会を探ること」、リスクテイクは「結果が分からなくても行動を起こすこと」とされています。どれも、経験を通じて身につけていけるスキルとして位置づけられています。なお、1999年の論文は効果を実証した研究ではなく、キャリアカウンセリングの考え方を示した提案です。その後、関連するスキルを測る研究が進められています。
03. A Familiar Scene
例えば、こんな場面です
社内で、別の部署との合同プロジェクトのメンバーを募集している。今の仕事とは直接関係がなく、自分のやりたいことにつながるのかも分からない。以前なら、方向が決まってからにしようと見送っていたかもしれない。それでも、少し気になったので手を挙げてみる。参加してみると、立場の違う人たちの意見をまとめる役回りが、思いのほか楽しい。終わったあとにかけられた「助かったよ」という一言が、しばらく頭に残る。自己分析の結果には一度も出てこなかった関心が、そこで初めて見えてくる。もちろん、手を挙げたことが、すぐに次の道につながるとは限りません。それでも、机の上で考えているだけでは出会えなかった手がかりが、小さな行動のあとに見つかることがあります。
04. What Coaching Does
コーチングでできること
小さく試せばいいと分かっても、「それが遠回りになったら」と考えると、一人では最初の一歩を決めにくいことがあります。かといって、キャリアの迷いを誰かに話そうと思っても、相手を選ぶのは意外と難しいものです。上司や人事は職場の事情に詳しい相談相手ですが、配置や引き留めといった組織の視点が入ることもあります。家族や友人に話せば、「安定が一番」「好きなことをやればいい」と、相手の価値観で答えが返ってくることもあります。どの答えも間違いではありません。ただ、「自分は何に心が動くのか」は、周りの助言だけでは決めきれません。実際に試してみたときの、自分の反応が手がかりになります。コーチは、職場での評価や配置を決める立場ではありません。答えを示すのではなく、問いを重ねていきます。遠回りになりそうで怖い気持ちも確かめながら、最近気になったことや思いがけず楽しかったことを一緒に振り返り、今の生活の中で試せる小さな一歩を形にします。動いたあとに何を感じたかを、また一緒に確かめる。それを繰り返すうちに、迷いながらでも前に進んでいる手応えを持てるようになることがあります。
「決まってから」ではなく、「動きながら」見えてくるものがある
やりたいことがはっきりするまで動かないのは、遠回りをしたくないという慎重さの表れかもしれません。ただ、その慎重さが、出会えるはずの機会を遠ざけていることもあります。
答えが見えない今は、可能性がまだ開かれている時間でもあります。最近、少しだけ気になったことは何でしょうか。 まずは30分の無料相談で、話してみてください。
よくある質問
やりたいことが分からないのは、自己分析が足りないからですか?
そうとは限りません。考えるだけでは見えにくい関心が、実際に試してみて初めて分かることもあります。自己分析と小さな行動を行き来することが、手がかりになります。
計画された偶発性理論とは何ですか?
スタンフォード大学のクランボルツらが1999年に提案した、キャリアの考え方です。予期しない出来事を学びの機会と捉え、好奇心などのスキルで活かしていくことを重視します。
キャリアの迷いも、コーチングで相談できますか?
相談できます。コーチは職場での評価や配置を決める立場ではありません。答えを示さずに問いを重ね、関心や価値観を一緒に言葉にしながら、次に試せる一歩を形にしていきます。
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