自分には甘く、 他人には厳しくなる理由
公平なつもりでも、評価の物差しはずれていることがあります
部下の提出が、 期限に間に合わなかった。 「責任感が足りない」。 そう思った。 その同じ週、 自分の資料の提出も、 期限に間に合わなかった。 「今週は、会議が多すぎた」。 そう言い訳をしていた。
00. The Pattern
同じ「遅れ」なのに、見ている場所が違う
部下の遅れには、「責任感が足りない」「準備が甘い」と、その人の資質に理由を求める。自分の遅れには、「予定が詰まっていた」「急な対応が入った」と、そのときの状況に理由を求める。同じ「期限に間に合わなかった」という出来事なのに、見ている場所が違う。この違いに、本人は気づいていないことが多いものです。
気づきにくい二重基準
・部下の失敗は、能力や姿勢の問題として語る ・自分の失敗は、そのときの事情として説明する ・この二つの説明の違いに、自分では気づいていない
01. The Background
なぜ、見る場所が変わるのか
心理学者エドワード・ジョーンズとリチャード・ニスベットは1971年、人は自分の行動を説明するとき状況に目を向けやすく、他者の行動を説明するときはその人自身の性格や資質に目を向けやすいと指摘しました。行為者と観察者の非対称性と呼ばれる現象です。自分の状況は、抱えている案件も、直前に入った対応も、細部まで見えています。けれど他者の状況は、結果として表れた行動しか見えません。見えていない部分を、その人の資質で埋めてしまいやすくなることがあります。ただし、いつでも必ず起こるわけではなく、特にミスや失敗を説明する場面で表れやすいとされています。
02. A Familiar Scene
例えば、こんな場面です
ある企画の提出が遅れたとき。担当した部下には、「スケジュール管理ができていない」と伝えた。同じ月、自分が担当していた報告書の提出も遅れていた。「今月は来客対応が重なって」と、周囲にはそう説明していた。部下に伝えた基準と、自分に向けた基準が、同じではなかったことに、そのときは気づいていません。後になって、部下から「なぜ自分だけ」という空気を感じ取ったとき、気まずさとともに、ようやくこの差に思い至ることがあります。
03. The Cost
この差に気づかないまま、どうなっていくか
この差に気づかないままでいると、部下から見れば「自分だけが厳しく評価されている」という不公平感が募ることがあります。進捗の遅れを指摘されるたびに能力の問題として扱われたと感じた部下は、次に遅れそうになったとき、早めに相談するのではなく、ぎりぎりまで一人で抱え込んで何とかしようとするかもしれません。「最近、部下からの早めの相談が減った」「問題が大きくなってから初めて知らされる」。そう感じる場面が増えていたら、それはこの差のサインかもしれません。本当は仕組みや状況に原因があるはずの問題も、「あの人の性格」で片づけてしまうと、根本の原因には手が届かないまま、同じミスが繰り返されやすくなります。
04. What Coaching Does
エグゼクティブコーチングでできること
こうしたずれは、一人で振り返るだけでは気づきにくいものです。「公平に評価しましょう」と伝えることが、エグゼクティブコーチングの目的ではありません。まず、他者のどんな行動を資質の問題として語りやすく、自分のどんな行動を状況のせいにしやすいかを、具体的な場面を通じて一緒に確認していきます。その違いに自分で気づけるようになると、評価の物差しを意識的にそろえる余地が生まれていきます。
評価の基準は、自分にも同じように向いていますか
部下の遅れを厳しく見てしまうのは、評価者として無責任だからではありません。それだけ、仕事の基準を大切にしている証拠かもしれません。
ただ、同じ「遅れ」に対して、自分にも同じ基準を向けられているか、一度立ち止まって確かめてみる価値はあります。 まずは30分の無料相談で、話してみてください。
よくある質問
部下に厳しく、自分に甘いのは、良くないことなのですか?
良くないと断定するものではなく、多くの人に起こりやすいとされる心理的な傾向です。ただ、自分では気づきにくく、評価される側との間にずれを生むことがあります。
このバイアスは、誰にでも必ず起きるものですか?
いつでも必ず起きるわけではなく、特にミスや失敗を説明する場面で表れやすいとされています。
エグゼクティブコーチングでは何をしますか?
自分がどんな場面で評価の基準を変えているかを、具体的な場面を通じて一緒に確認し、基準をそろえる余地を広げていきます。
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